飲食店は雰囲気が6割

 この前、久しぶりに心地よい外食ができました。

 友人と遊んで別れた後、晩御飯を何にしようか考えながら電車に乗っていました。楽しい一日を締めくくる晩御飯にしたい、とはいえ今月はまだ出費の予定もあるし、駅からの帰り道にあるスーパーにでも寄って、普段買わないお惣菜でも買って家で飲んで安く済ませようかと考えていました。

 最寄駅につき、駅を出るとそこには新装開店のご飯屋さんが。しかも開店記念セールで生ビールが半額とでている。料理の値段を見てみると駅前のお店の割に手ごろな値段。生ビールが半額とはいえ、家御飯にしようと決めたばかり。5分ほど迷った末、お店に入ることにしました。

 お店に入ると新しいお店らしく、元気よく店員さんが迎え入れてくれます。正直、一人で飲食店に入るとお店によっては歓迎されないこともあるので(特にテーブル席がメインのお店は席あたりの客単価が下がってしまうので)それだけで少しうれしくなります。席は2人分のさわやかな笑顔で注文を受けてくれます。おすすめを聞くと「全部おすすめですね!」「あ~、そのパターンですねw」。普段だと、いやそういうことじゃなく、と思ってしまうところですが、店員のさわやかな口調にこっちも気が緩んでしまう。鳥料理がメインのお店だったので、生ビールとよだれ鳥、その他何品か注文しました。

 お通しが出てきて、ビールを飲みながら料理が出てくるのを待っていると、アクシデントが。目の前のショーケースのふたが滑って自分の目の前に。幸いなことに自分側には特に被害もなく、お通しが少しこぼれたくらい。わざとなわけでもないので全然気にしていなかったのですが、先ほどのイケメン店員さんやらカウンター内にいた店員さんも謝ってくれました。全く気にしていないとはいえ、アクシデントに機敏に対応してくれる様は高ポイント。

 やがてお料理が出てきました。よだれ鳥は特製のたれに茹でた鶏肉を漬け込んだもの。ナッツの風味が利き、口当たりがあっさりしてる割にコクがある。それを一切れ口に運び、すかさず白飯をかっ込む。そして喉を通る感触を楽しみながら、ビールを流し込む。うまい。その他の料理もゆっくり食べていると、さらにアクシデントが。先ほどのショーケースのふたが再び席に。幸いほとんど食べ終えた後だったので、これまた特に被害もなかったのですが、店員さんは平謝り。いや、全っ然気にしてないですから・・!

 店員さんの気持ちの良い対応に後押しされ、〆のラーメン(鳥だし!)まで頼んで、大満足。料理と値段だけでも大満足だったのですが(正直利益出てるのかとすら思う)、お店を出る際もずっと謝ってくれてて、とにかくまったく嫌な気持ちにならず、心の底から心地よいと思える外食でした。こんな気分よく外食できたのはかなり久しぶりのことでテンションが上がりました。

お店の雰囲気は味を超える価値がある

 実は自分は普段はあまり外食をしません。遠出をしているときは別として、日常の場合は自炊することがほとんどなので、近所の飲食店もなかなか行く機会がありません。そういう自分が飲食店に求めるのは「心地よく食事ができること」です。複数人でお店を利用する場合は、「会話」というエッセンスが加わりますが、一人でお店を利用する場合は「お店の雰囲気」が大半を占めます。もちろん味や値段も大事ですが、味と値段はバランス次第で、安いけどそれなりの味、そこそこ値段はするけどおいしい、はどちらもそこまで影響しません。なので、合わせて半分いかないという意味で、味2割・値段2割といったところでしょうか。

 ではお店の雰囲気とは何かというと、それはもう店員さんの雰囲気につきます。どちらかというと小市民なので横柄にしたいわけではなく、愛想が良かったり、注文をしたいときにすぐに気付いてくれたり(さりげなくフロア全体に注意を払ってる)、ただそれくらいのことで十分なんです。しかし、これがなかなかできない店が多い。そうなると味と値段のバランスでしかお店をとらえることができない上、値段に比べて飛びぬけて味がよくない限りはプラスの評価ができず、通いたいと思う気持ちがそがれてしまうわけです。上記のお店はアクシデントに対して謝ってくれたことはもちろんありがたかったですが、重要なのはその有無ではなくて、自分というお客に対して向き合ってくれてる感、なわけです。

 飲食店においては、味と値段だけを見たら2:2でとんとんであったとしても、お店の雰囲気をよくすることができれば、2+6:2(味+お店の雰囲気:値段)で圧倒的に安く感じられるようになります。同じ値段で雰囲気のいいお店であればそちらを選ぶのはもちろんのこと、例え値段が安いお店があったとしても、2+6の割合を超える味を出すことはほぼ無理です。

 もちろん人によってはお店の雰囲気の割合がもう少し低いこともあるでしょう。しかし、心地よく食事をするか、窮屈に食事をするかどちらを取るかと言えば、ほぼほぼ心地よく食事をする方を選ぶはずです(ラーメンのように特殊な感覚を味わうお店は別として)。なので、飲食店を経営される方はその価値をもっと大事にしてほしいと思います。

 

 自分は少し遠回りしてでもまた上記のお店に行きたいと思いました。